2024/11/24 14:41:34
令和7年1月より申告書等への収受日付印押なつの廃止
国税庁は、「令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて」というホームページを更新しました。これは、令和7年1月から申告書等の控えに収受日付印の押なつを行わないという取扱の更新です。申告書等の控えへ収受日付印の押なつは行いませんが、必要に応じて、納税者自身が控えの作成及び保有、提出年月日の記録・管理をするというものです。
なお、当分の間の対応として、窓口で交付する「リーフレット」に申告書等を収受した「日付」や「税務署名」を記載したものを、希望者に渡すそうです。この度、窓口用と郵送用のリーフレットが公開されました。申告書や届け出の名称などは、納税者がメモとして自ら記載する形式となっております。各種届出書などの記載には相当の注意を払う必要があると思います。例えば、消費税課税事業者届出書と消費税課税事業者選択届出書など内容が全く異なるもののメモ書きは要注意です。零細中小企業や個人の納税者・高齢者など税務に不慣れな方々に対する配慮を当局にお願いしたいです。
私は、記帳があまりできない納税者への記帳指導という仕事を長年やっておりました。多くの様々な納税者の皆様と汗をかきかき帳簿の記載方法・決算書や申告書の作成までお手伝いをさせていただきました。零細企業や個人とくに高齢者の皆様は後でeTaxで確認などできません。控えに日付印を押さないのであれば、せめて、税務署の担当者が届出書の名称くらいは記載していただきたいと思います。そのくらいの責任は負担していただけないでしょうか。
2024/10/21 19:28:58
国税庁が年末調整の電子化による業務の効率化を勧奨
国税庁は、年末調整手続の電子化により業務効率化できるとして、従業員と勤務先両方のメリットをあげて、手続の電子化を勧めています。
年末調整手続が電子化された場合、
(1)従業員が、保険会社等から控除証明書等を電子データで受領し、
(2)従業員が、国税庁ホームページなどからダウンロードした年末調整控除申告書作成用ソフトウェアに、住所・氏名等の基礎項目を入力し、(1)で受領した電子データを自動入力、控除額の自動計算をして年末調整申告書の電子データを作成します、
(3)従業員が、(2)の年末調整申告書データと(1)の控除証明書等データを勤務先に提供します。そのうえで、
(4)勤務先が(3)で提供された電子データを給与システム等にインポート(自動入力、控除額の自動計算)して年税額を計算することになります。
年末調整手続の電子化により、従業員は、これまでの手書きによる負担(年末調整申告書の記入、控除額の計算など)を省略でき、年末調整申告書の作成を簡素化できます。また、書面で提供を受けた控除証明書等を紛失した場合は、これまでは保険会社等に対し、再発行を依頼しなければならなかったのですが、その手間も不要となるなど多くのメリットがあります。
一方、勤務先は、年末調整申告書データを利用することにより、控除額の検算が不要となり、控除証明書等データを利用した場合には添付書類等の確認に要する事務が削減されます。
年末調整は、大変手間のかかる作業です。これを勤務先企業が行うことは、国税当局にとっては元々大きなメリットがあります。先日、自民党の総裁選で河野デジタル大臣が主張した年末調整の廃止は、国民の手に給与所得の申告手続きを任せるものなのでしょうか。そうだとすると、当局は企業任せにできなくなり大変な事務量をかかえることになりますが、国民の納税意識の高揚につながると思います。日本社会における税の位置づけが変わるかもしれません。
2024/09/24 18:37:22
企業会計基準34号「リースに関する会計基準」等の公表
企業会計基準委員会(ASBJ)は9月13日、企業会計基準34号「リースに関する会計基準」等を公表しました。適用時期は、2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首からとされ、2025年4月1日以後開始する連結会計年度等の期首からの早期適用も認めています。
改正リース会計基準等は、現行のリース会計基準等とは大きく異なります。国際的な会計基準との整合性の観点から、借手のリースの費用配分の方法について、IFRS16号「リース」と同様、リースがファイナンス・リースであるかオペレーティング・リースであるかに関係なく、すべてのリースについて資産及び負債を計上することとしています。連結財務諸表だけでなく、個別財務諸表についても適用されるため、仮に税務上の取扱いが変更された場合には、上場会社や会社法上の大会社だけでなく、中小企業にも影響を及ぼすことになります。
リース会計基準等の改正に伴う税制上の措置は、令和7年度税制改正での大きな論点の一つとなりそうです。
なお、日本公認会計士協会も同日、改正リース会計基準等の公表に伴い、業種別監査委員会報告19号「リース業における金融商品会計基準適用に関する当面の会計上及び監査上の取扱い」など、5本の実務指針等を改正し、公表しました。リース資産を「使用権資産」、リース債務を「リース負債」に変更するなどの見直しが行われています。
この改正リース会計基準は、IFRS(国際会計基準)と同様の処理をするとなると、中小企業にとっては、記帳面においてもハードルが高いものとなりそうです。IFRSでは、通常の家賃もリースとして取扱う処理があったと記憶しております。未だ、私はこの度の改正リース会計の内容の詳細は把握しておりません。ただ、やっかいなものがやって来たとは感じてております。
2024/08/23 16:50:07
インド法人との取引に係る料金 源泉所得税について
内国法人がインドの法人3社と取引し、料金を支払ったところ、租税条約に基づき国内源泉所得に該当するため、源泉徴収をすべきであったとして否認を受けました。審判所は、これらの取引は源泉徴収対象と認めながらも、一部の取引に係る源泉徴収税額の計算方法は課税庁の誤りとして取り消していたことが分かりました(令和5年8月15日裁決)。
同裁決によると、家電等のスマホによる遠隔操作等のサービスを提供するX社は、インド法人のJ社、K社、L社とそれぞれ取引を行い、その代金を支払いました。課税庁はこの取引について、日印租税条約に規定する「技術上の役務に対する料金」に該当するため国内源泉所得となり、源泉徴収が必要になると指摘して課税処分を行いました。X社はこの処分を不服として審査請求に及んだというものです。
一方、X社は、3社のうち1社はX社が出資するLLP(リミテッド・ライアビリティー・パートナーシップ)であり、取引の対価は給与等に当たるとしました。その他2社との取引もソフトウェアの譲渡対価及びデザイン料であり、「技術上の役務に対する料金」には該当しないと主張しました。これに対し審判所は、いずれの取引も「技術上の役務に対する料金」と認め、X社の主張を斥けたものの、課税庁がK社との取引をグロスアップ計算(手取り額から税込額を逆算する方法)により源泉所得税の計算を行っていた部分のみ誤りと判断しました。この部分についての課税処分のみ取り消しました。
上記のようにインド法人に支払う報酬(使用料)に関する源泉徴収については、日印租税条約の規定により使用料を支払う側が源泉所得税を納税することになっています。(債務者主義)注意されください。
2024/08/01 16:36:36
USCPAのライセンス
今年の2月にアメリカ合衆国のワシントン州で公認会計士(USCPA)のライセンスを登録しました。アメリカ合衆国の公認会計士は、ライセンスを継続するためには、継続教育をう受けなければなりません。3年で120単位、1年最低20単位、さらに、倫理の単位も含まなければなりません。継続教育の要件を満たさなければ、ライセンスが取消となります。アメリカ合衆国の公認会計士協会は、それだけ厳重に資格の質を保つために、制度化しています。内容は、会計、税法、監査、倫理、ファイナンス、ビジネスマネジメント、情報技術など多岐にわたります。
私はBeckerのOn−Demandの授業を少しずつ毎朝見て、単位を取得しています。英語が苦手な私にとっては、結構大変です。