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税理士日記

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常時雇用301人以上の企業に「男女の賃金の差異」の開示を義務付け

2022/07/27 14:42:30

「男女の賃金の差異」の開示

 女性活躍推進法の省令・告示が令和4年7月8日に改正され、「男女の賃金の差異」の公表が義務付けられることになりました。
 対象は、常時雇用する労働者が301人以上の企業とされ、上場・未上場は問いません。「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」の3区分での公表が必要であり、区分ごとに、「女性の平均年間賃金」を「男性の平均年間賃金」で割って、その割合(パーセント)を算出します。なお、「全労働者」とは「正規雇用労働者及び非正規雇用労働者」の合計であり、非正規雇用労働者にはアルバイト、パート、契約社員なども含まれます。
 対象企業については、令和4年7月8日以後、最初に終了する事業年度の実績について、その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表する必要があります。他の情報公表項目と同様に、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」や自社ホームページなどで公表します。
 また、上場企業など、有価証券報告書を作成している場合には、従業員の範囲や平均年間給与の計算に用いる給与の範囲が女性活躍推進法における「男女の賃金の差異」の算出の原則に適合していれば、有価証券報告書における「従業員」の「平均年間給与」の算出方法を踏まえて、男女別の平均年間賃金を算出してよいとされています。

 従業員の多い企業は、アルバイトの方の社会保険や この度の男女の賃金の差異の開示など制約が出てきています。

鬼滅の刃 制作会社がカフェの売上除外で有罪

2022/07/21 17:32:41

「鬼滅の刃」制作会社がカフェの売上除外で有罪

 人気アニメ「鬼滅の刃」などの制作会社が併営するカフェの売上を隠ぺいし、法人税等約1億4,000万円を脱税していたことが発覚した事件では、東京地裁は、代表者が経理担当者に執拗に脱税を指示していたなどとして悪質性が強いと判断し、有罪判決を下したことが分かりました(令和3年12月10日判決)。
 アニメの制作などを業とするX社は、アニメ関連商品の販売やコラボカフェの運営等も手がけていました。代表者の甲は平成27年、29年、30年の3事業年度にわたり、カフェの売上金の一部を自宅に保管した上で、その分の売上を帳簿から除外し、計約4億4,000万円を隠ぺいしました。虚偽の確定申告書を提出して法人税・消費税等計約1億4,000万円を脱税しました。このことが税務調査で明るみになり、甲は起訴されました。
 裁判で甲は、アニメ業界ではヒット作に恵まれることは少なく、将来、会社の経営が悪化した時に備えて資金を残しておくために、やむを得ず脱税をしたと主張しました。東京地裁は、甲の手口は巧妙とまではいえないものの、会計担当の妻が売上除外・帳簿改ざん等の行為に消極的だったにもかかわらず、執拗に実行の指示をしていることなどから、脱税の意思は強かったと指摘しました。また、経営悪化のリスクがあるのはアニメ業界特有の問題ではなく、正当な理由とはならないとして、その悪質性を認定し、X社に罰金3,000万円、甲に懲役1年8か月(執行猶予3年)の有罪判決を下しました。

 鬼滅の刃で充分に儲かっているように傍目には見えるのですが、こういう事(売上除外)をしてはいけません。執行猶予のついた懲役となっています。

外国子会社からの配当金の益金不算入

2022/06/23 19:07:23

外国子会社からの配当金の益金不算入を否認

 外国子会社から受けた配当金を益金に算入せずに法人税の申告を行ったところ、制度の対象となる外国子会社には該当しないとして否認されました。大阪地裁は、株式の保有割合が25%に達していないとして、納税者の請求を却下しました(令和3年9月28日判決)。
 X社はカナダ子会社A社から約6億円の配当金を受けました。X社は法人税法23条の2第1項の「外国子会社配当益金不算入制度」を適用し、配当金の95%を益金不算入として法人税の申告を行いました。課税庁は、A社が本税制における「外国子会社」には該当しないとして否認しました。X社はこの処分を不服として訴訟を提起しました。
 法人税法施行令22条の4第1項2号は、「外国法人の発行済株式のうち議決権のある株式の数又は金額のうちに占める保有株式の割合が25%以上」という要件を規定していますが、この要件に該当するか否かが争われました。X社は議決権割合の26%を保有しているため、制度上の外国子会社に該当すると主張しました。
 大阪地裁は、政令で定める「議決権のある株式の金額」とは当然に「株式の額面金額」を意味するが、X社が保有する株式は議決権があるものの額面株式ではないため、X社の「議決権のある株式の金額」は存在しないと指摘しました。結果として、A社は制度上の外国子会社には該当しないと判断し、X社の請求を斥けました。

 この判決を見ると、実務において、外国子会社であると判断することが、大変難しいと言わざるをえません。もっと、シンプルに要件を整理していただきたいと思います。このままだとリスクが大きすぎます。

夫婦間のお金のやりとり

2022/05/23 15:37:55

みなし贈与か?

 妻が夫の預金口座から出金し、自らの名義の証券等を購入していた行為はみなし贈与に該当するか否かが争われていた審査請求事案で、審判所は「夫婦間においては包括的同意の下に相手の意向を忖度して財産を管理・運用することは不自然ではない」として、みなし贈与には該当しないと判断しました(令和3年7月12日裁決)。
 主婦であるXは、夫A名義の預金口座から出金し、X名義の証券口座に入金して複数の金融商品を購入していました。また、これらの金融商品から生じた配当等についてXは、自らの所得として確定申告していました。Aの死亡後、Xは他の共同相続人とともに相続税の申告を行いましたが、X名義の金融商品等は相続財産に含めていませんでした。その後、Xはこれらの金融商品等が申告漏れであったとして修正申告を行ったものの、課税庁はAの預金口座からX名義の口座に移管した行為は「対価を支払わないで利益を受けた」ものであり、相続税法9条の規定により贈与とみなされるとして、贈与税の決定処分・無申告加算税の賦課決定処分を行いました。Xはこの処分を不服として審査請求しました。
 審判所は、夫婦間においては一方が他方の財産を包括的合意又はその意向を忖度して管理・運営することはさほど不自然なものとはいえず、Xが当該金員を私的に費消した事実もうかがわれないなどとして、原処分を全部取り消しました。

 よくありそうな話です。夫婦間の包括的合意で管理・運営するという言葉は、税務調査等で、これからも使えそうな気がします。

 

簿外経費の立証責任

2022/03/22 18:55:05

簿外経費の立証責任は、納税義務者側にある

 建設会社がコンサルタントに支払った業務報酬の損金算入可否が争われた事案で、東京地裁は、納税義務者が簿外経費の損金算入を主張する場合は、その立証責任は納税義務者側にあるとし、立証できなければ損金算入不可と判断しました(令和3年12月23日判決)。
 山口県で土木建設業を営むX社は、不動産ブローカー甲の紹介により大手住宅販売会社A社のマンション6棟の建設施工を受注。その見返りとして、それぞれの工事ごとに甲に対して数千万円のコンサルタント業務費を支払いました。しかし、平成25年契約の工事においてはコンサルタント契約の相手方を甲ではなくN社とし、平成26年契約の工事では同様にT社としました。X社はそれぞれのコンサルタント業務費を損金に算入して申告しましたが、税務署は、これらは架空経費であり、損金算入はできないとして否認しました。
 X社は裁判で、甲がN社、T社の代理人であると認識していたこと、支払先の名義はどうあれ、甲の役務提供とその対価の支払の事実は変わらないことから、損金に算入すべきと主張しました。東京地裁は、本件のような帳簿書類と異なる必要経費、すなわち簿外経費の主張の場合は、納税義務者側が必要経費として支出した金額、支払年月日、支払先、支払内容等の事実や業務との関連性について主張立証すべきであり、それがない限りその経費を損金に算入することはできないと判断しました。X社の請求を棄却しました。

 通常の税務調査では、税務署が証拠をあげて立証すべきと考えますが、簿外経費については、納税者が立証すべきとの判決です。簿外経費の定義が今一つ分からないのですが、お金を渡すときは注意が必要です。



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