2020/02/22 16:05:01
国外財産調書の提出状況
国税庁の平成30年分国外財産調書の提出状況によると、提出総件数(令和元年6月末までの提出)は9,961件(対前年比4.3%増)、その総財産額は3兆8,965億円(同6.3%増)となり、平成26年1月の制度施行以来増加の一途にあります。国外財産調書は、その年の12月31日時点で合計5,000万円を超える国外財産を保有する居住者が、翌年3月15日までにその財産の種類や数量、価額等を記載して提出するものです。
東京国税局管内が6,413件と最も多く64.4%を占め、大阪局1,405件、名古屋局719件、その他が1,424件。また、総財産額も東京局が2兆8,458億円と全体の約4分の3に達し、大阪局5,282億円、名古屋局2,190億円となっており、大阪局が5,000億円、名古屋局が2,000億円を突破しました。
申告財産を主な種類別にみると、最も多いのが「有価証券」の2兆1,135億円で以下、「預貯金」5,771億円、「建物」4,360億円、「貸付金」1,880億円、「土地」1,557億円。ここ数年は有価証券が増加し、預貯金が減少傾向にあります。
一方、平成30事務年度における所得税・相続税の実地調査の結果、加算税の特例が適用された件数は、軽減措置が194件、加重措置が245件となっており、加重措置に伴う増差所得等金額が大幅に増えています。なお、現在国会に提出されている令和2年度税制改正法案では、国外財産調書の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置の見直し等が盛り込まれています。
国外に財産を持たれている方が増えています。有価証券などの金融財産が代表的ですが、この度、国税からメスが入りそうな国外の建物を使った節税などをされている方もいらっしゃると思います。 税務署は国外財産の把握にやっきになっているようです。
2020/01/26 13:52:11
建物の取得に係る課税仕入れを行った日はいつか?
金地金の取引を利用した消費税還付策が最近散見されますが、還付の対象となった建物の取得の日が課税仕入れとなる課税期間か否かが争われていた事案で、東京地裁は「取得日は契約日ではなく引渡日であるため、還付の対象とはならない」と判断しました(平成31年3月14日判決)。
不動産賃貸業を営むX社は、平成24年6月に金地金を売買する取引を行った結果、平成25年11月5日〜30日の課税期間(本件課税期間)において課税事業者となりました。本件課税期間中の11月15日にKからマンションの土地建物を9億7,000万円で購入する契約を締結しました。翌課税期間の12月2日に売買代金の全額を支払って登記を行いました。X社は本件課税期間の消費税について、建物部分ほか8億円に係る消費税を控除対象仕入税額に算入した上で申告したところ、税務署から否認されたため裁判に訴えました。
争点は建物の取得に係る課税仕入れを行った日はいつかです。すなわち、契約日である11月15日であれば課税事業者、引渡日である12月2日であれば免税事業者となるため、取得をしたのはどちらの日かが争われました。これについて東京地裁は、売買代金全額の支払と所有権の移転登記は12月2日に同時履行となっていること、契約上、マンションの賃料収入や一切の地位は引渡日をもってX社の帰属となることから、国側の主張する引渡日が課税仕入れを行った日に該当すると判断しました。X社の請求を棄却しました。
この裁判がすべてではないと思いますが、土地建物の取得時期を考える際、十分に注意しないといけません。
2019/12/19 12:59:27
経営力向上計画の認定申請をされませんか?
中小企業経営強化税制による即時償却や税額控除、所得拡大税制の税額控除の拡大などのメリットがある「経営力向上計画の認定申請」の作成などの業務をさせていただいております。設備投資についてご検討されているのであれば、お声をかけてください。
さらに、その経営計画を達成するように、社外パートナーとしてサポートさせていただきます。
よろしくお願い申し上げます。
2019/12/19 11:57:06
ふるさと納税
ふるさと納税において寄附者が自治体から受けた地場の特産品などの返礼品について、国税庁は一時所得に該当することを質疑応答事例として同庁のホームページ上で明らかにしていることが分かりました。
照会は、ある地方団体がふるさと納税により1万円以上の寄附を受けた場合に、この寄附に対する謝礼として、3,000円程度のその地方団体の特産品を送ることとしているときに、寄附者が受けるこの経済的利益について課税関係は生じるかというものです。
これに対して回答は、「寄附者が特産品を受けた場合の経済的利益は、一時所得に該当」するとし、ただし、3,000円程度の特産品であることから、その年中に他に一時所得に該当するものがないときには、課税関係は生じないと説明しています。つまり、一時所得は50万円以上でなければ実際には課税されないことから、この質問のようなケースでは課税関係は生じないというわけです。
ただ、高額所得者の場合には、全国のさまざまな地方団体にふるさと納税を行い、数百万円相当の返礼品を受け取っている納税者もあるということです。そのような納税者においては申告する必要があるのは言うまでもありません。この場合に、一時所得の算定上、通常はその収入を得るために支出した金額を収入から差し引くことができるが、ふるさと納税額は見返りのない寄附であることから、このような処理はできません。基本的には返礼品の合計額から50万円を差し引いた額が一時所得の課税金額となることに留意したいです。
細かく決まると、面倒になりますね。
2019/10/27 12:11:18
特定の一般社団法人等に対する課税のあらまし
一般社団法人等に対する相続税課税制度が平成30年度税制改正で導入されましたが、改正法施行前に設立された既存法人が課税要件に該当する場合には施行から3年のうちに何らかの対応が必要です。国税庁はこのほど「特定の一般社団法人等に対する課税のあらまし」を公表していますが、特に被相続人の同族理事が過半である場合の課税要件に注意したいです。
相続税の課税要件を確認しておくと、対象となる特定一般社団法人等は、(1)相続開始直前にその被相続人に係る同族理事が理事総数の2分の1超、又は(2)相続開始前5年以内のうち3年以上、被相続人に係る同族理事が理事総数の2分の1超であったこと――のいずれかに引っ掛かると、その特定一般社団法人等を個人とみなして相続税を課税する。つまり、(1)の相続直前に同族過半の状態を解消するのでは手遅れなので、(2)の同族過半の状態を3年未満のうちに解消しておく必要があるわけです。
ここで既存法人の取扱いが気になるが、改正法の経過措置では、施行前の平成30年3月31日以前はこの過半要件を判定する期間に含まないとしており、国税庁の情報においても、令和3年の3月末までに同族過半要件を解消すればよいことが分かります。既存法人は同族要件に該当する理事の有無を確認しておきたいところです。
一時期、一般社団法人等を利用した相続税の節税策として流行りましたが、メスが入っております。早めの対応が必要です。