2024/10/21 19:28:58
国税庁が年末調整の電子化による業務の効率化を勧奨
国税庁は、年末調整手続の電子化により業務効率化できるとして、従業員と勤務先両方のメリットをあげて、手続の電子化を勧めています。
年末調整手続が電子化された場合、
(1)従業員が、保険会社等から控除証明書等を電子データで受領し、
(2)従業員が、国税庁ホームページなどからダウンロードした年末調整控除申告書作成用ソフトウェアに、住所・氏名等の基礎項目を入力し、(1)で受領した電子データを自動入力、控除額の自動計算をして年末調整申告書の電子データを作成します、
(3)従業員が、(2)の年末調整申告書データと(1)の控除証明書等データを勤務先に提供します。そのうえで、
(4)勤務先が(3)で提供された電子データを給与システム等にインポート(自動入力、控除額の自動計算)して年税額を計算することになります。
年末調整手続の電子化により、従業員は、これまでの手書きによる負担(年末調整申告書の記入、控除額の計算など)を省略でき、年末調整申告書の作成を簡素化できます。また、書面で提供を受けた控除証明書等を紛失した場合は、これまでは保険会社等に対し、再発行を依頼しなければならなかったのですが、その手間も不要となるなど多くのメリットがあります。
一方、勤務先は、年末調整申告書データを利用することにより、控除額の検算が不要となり、控除証明書等データを利用した場合には添付書類等の確認に要する事務が削減されます。
年末調整は、大変手間のかかる作業です。これを勤務先企業が行うことは、国税当局にとっては元々大きなメリットがあります。先日、自民党の総裁選で河野デジタル大臣が主張した年末調整の廃止は、国民の手に給与所得の申告手続きを任せるものなのでしょうか。そうだとすると、当局は企業任せにできなくなり大変な事務量をかかえることになりますが、国民の納税意識の高揚につながると思います。日本社会における税の位置づけが変わるかもしれません。