2017/11/22 14:28:56
富裕層の所得税調査
プロジェクトチームや資料情報により富裕層の継続管理を進める国税庁は、平成29年6月までの1年間の所得税調査においても、富裕層に対して前年度とほぼ同じ4,188件の実地調査を行い、その約8割の3,406件で非違を見つけ、441億円の申告漏れ所得金額に対して127億円を追徴課税したことを明らかにしました。
1件平均でみると、実地調査全体では追徴税額は154万円ですが、富裕層は2倍の304万円となります。累進税率の所得税で富裕層の税額が大きくなるのは当然ですが、海外取引をしていた富裕層478件に限ってみると、1件平均の追徴税額は772万円で全体平均の5倍に膨らみます。
調査事例をみると、(1)外国法人からの配当等があったのにかもかわらず意図的に申告していなかった東京国税局管内のケース、(2)外国からの情報交換資料を端緒に多額の利子などの申告漏れが見つかった広島国税局管内のケース、(3)海外不動産の譲渡所得を申告除外していた大阪国税局管内のケースなど、非違は全国に広がっています。(1)は国外送金等調書を端緒に把握したもので、追徴税額は重加算税込みで約7,000万円。(2)は国外財産調書や財産債務調書の提出がなかったため、加算税5%が上乗せされ、追徴税額は約2,900万円。(3)も国外送金等調書が端緒となり、重加算税込みで約400万円が追徴課税されました。
富裕層の皆さんは、この度の所得税改正においても風当たり強そうです。また、国外財産なども管理されつつあります。しっかり納税せよということでしょう。