2015/04/24 09:57:10
国外転出時課税
国外転出時課税は平成27年度税制改正で創設された新制度ですが、平成27年7月1日以後に日本から国外転出等する場合に適用されます。1億円以上の有価証券や未決済の信用取引等を所有する場合に対象となるため、このほど公表された「国外転出時課税制度(FAQ)」において、その対象範囲を確認しておく必要があります。
注意したいのは、文字どおりの国外転出は当然として、それ以外にも、国外に居住する親族(非居住者)へ対象となる資産を一部又は全部、贈与したり、相続・遺贈する場合も含まれる点です。非居住者への贈与であれば贈与者が含み益に対する所得税の確定申告をすることになり、非居住者が相続した場合は、国内居住者の相続人が含み益に対する所得税の準確定申告をする必要が出てきます(「FAQ」Q1)。
申告が必要となるのは、(1)国外転出時に対象となる資産を合計1億円以上保有し、かつ(2)国外転出の日前10年以内に国内在住期間が5年超――を満たすケース。外交等の在留資格に基づく在留期間は国内在住期間に含めません。対象資産に含み益があるか否かは、申告の有無に関係ないので注意したいです。対象資産は、有価証券や匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引等です(同Q3、4)。1億円以下か否かは国外転出時に評価して判定するが、平成27年12月末までは譲渡所得が非課税の国債や地方債も対象資産に含めて計算する点にも注意したいです。
国外に出国して悠々の老後計画などは、どうなるのでしょうか。