2014/07/24 10:48:31
家族名義預金を相続財産に含めなかっらたら、脱税か否か
家族名義の預金を相続財産に含めなかった行為について、脱税にあたるか否かの判決例をご紹介します。
被相続人の妻が、家族名義の預金を相続財産に含めずに相続税の申告をした行為が脱税に当たるか否かをめぐる争いで、東京地裁は「偽りその他不正の行為があったとは認められない」として無罪を言い渡したことが明らかになりました(26年1月17日判決)。
被告人X(被相続人の妻)は、亡夫の相続税の申告に際し、Xも含む家族の名義となっていた被相続人の預貯金を除外することにより、約1億4,000万円の相続税を免れていたことが国税局の犯則調査で発覚。脱税犯として公訴されました。相続税法68条1項では、脱税犯の要件として「偽りその他不正の行為により相続税又は贈与税を免れた者」と規定しています。裁判では、Xの行為がこの「偽りその他不正の行為」に当たるかが争点となりました。
東京地裁は、「偽りその他不正の行為」とは、逋脱の意図をもって何らかの偽計その他の工作を行うことをいうとした過去の最高裁判例を引用したうえで、本件のようなケースが脱税として成立するためには「単に過少申告があったというだけでは足りず、税を不正に免れようとの意図に基づき、あえて過少な申告を行うことを要す」と指摘。Xが逋脱の意図に基づき、あえて虚偽の過少申告を行ったものと認めるべき証拠はなく、Xが「偽りその他不正の行為」を行ったとは到底認められない――と判断して、Xに無罪を宣告しました。
脱税ではないにしても、相続税や加算税などはかかりますので、家族名義の預金も相続税の申告の際,漏れのないようご注意ください。