2024/08/23 16:50:07
インド法人との取引に係る料金 源泉所得税について
内国法人がインドの法人3社と取引し、料金を支払ったところ、租税条約に基づき国内源泉所得に該当するため、源泉徴収をすべきであったとして否認を受けました。審判所は、これらの取引は源泉徴収対象と認めながらも、一部の取引に係る源泉徴収税額の計算方法は課税庁の誤りとして取り消していたことが分かりました(令和5年8月15日裁決)。
同裁決によると、家電等のスマホによる遠隔操作等のサービスを提供するX社は、インド法人のJ社、K社、L社とそれぞれ取引を行い、その代金を支払いました。課税庁はこの取引について、日印租税条約に規定する「技術上の役務に対する料金」に該当するため国内源泉所得となり、源泉徴収が必要になると指摘して課税処分を行いました。X社はこの処分を不服として審査請求に及んだというものです。
一方、X社は、3社のうち1社はX社が出資するLLP(リミテッド・ライアビリティー・パートナーシップ)であり、取引の対価は給与等に当たるとしました。その他2社との取引もソフトウェアの譲渡対価及びデザイン料であり、「技術上の役務に対する料金」には該当しないと主張しました。これに対し審判所は、いずれの取引も「技術上の役務に対する料金」と認め、X社の主張を斥けたものの、課税庁がK社との取引をグロスアップ計算(手取り額から税込額を逆算する方法)により源泉所得税の計算を行っていた部分のみ誤りと判断しました。この部分についての課税処分のみ取り消しました。
上記のようにインド法人に支払う報酬(使用料)に関する源泉徴収については、日印租税条約の規定により使用料を支払う側が源泉所得税を納税することになっています。(債務者主義)注意されください。