2021/06/01 10:26:23
泉佐野市の交付税減額訴訟
ふるさと納税により多額の寄附金を泉佐野市が得たことを理由に、総務省が同市への特別交付税を減額したのは違法であるとして、市が総務省に対してその取消しを求めた訴訟で、大阪地裁はこのほど、市の主張を認め、「法律上の争訟にあたる」とする中間判決を言い渡しました(令和3年4月22日・令和2年(行ウ)第66号)。これにより、特別交付税の減額が違法か否かなどの具体的な争点については、今後審理されることになりました。
総務省は、本件については、具体的な争点を審理する前に、特別交付税額の決定をめぐる不服申立ては行政内部で解決すべきものであり、裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」に当たらないなどと主張しました。裁判所に訴えの却下を求めていたが、裁判所は「地方交付税法に訴訟提起を認めないという明確な規定はない」などとして総務省の主張を斥けました。一方、泉佐野市の訴えは「自治体の具体的な権利や法律上の利益に関する紛争にあたる」とし、裁判で争うことのできる事案であると判断しました。
泉佐野市はふるさと納税で多額の寄附金を集め、財政的に余裕があるとして、総務省は同市の令和元年12月と翌2年3月分の特別交付税を前年度から約9割減額しました。まさに「江戸の敵を長崎で討つ」かのような「懲罰の意図がある」として市が訴えた格好です。
ふるさと納税をめぐっては、周知のとおり、過去の寄附募集の方法に問題があったとして総務省が泉佐野市を含む4団体を制度から除外し、同市がその違法性を訴えた訴訟で最高裁が令和2年6月、国の除外決定を取り消す判決を言い渡しています。ふるさと納税訴訟と関連がないとはいえない本訴訟の今後の動向が注目されます。
今後の争点など注目です。