2020/03/23 15:21:51
配偶者居住権の設定後の相続・遺贈・贈与
改正基本通達を見ていくと、配偶者居住権が設定された時における配偶者居住権の存続年数に応じて法定利率による複利の計算で現価を算出していきますが、この法定利率は、配偶者居住権が設定された時における民法404条が定める法定利率をいうことも明らかにしています(相基通23の2−4)。法定利率は3年ごとに見直されますが、配偶者居住権等の評価においては、配偶者居住権が設定された時における法定利率、つまり、配偶者居住権が設定された日に適用される法定利率を用いることになります。
さらに配偶者居住権等を評価する際の「平均余命」は、厚生労働省作成の「完全生命表」の年齢や性別に応じた平均余命(6月以上の端数は切り上げ、6月未満の端数は切り捨てた年数)となりますが、この完全生命表は5年ごとに改訂されています。そこで改正通達は、配偶者居住権が設定された時の属する年の1月1日現在において公表されている最新のものによることを明らかにしました(同23の2−5)。
配偶者居住権の設定後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得した配偶者居住権の目的となっている建物及びその建物の敷地の用に供される土地の取得時の価額(同23の2−6)については、配偶者居住権の評価方法に準じて計算することになることも留意的に明記しました。二次相続等により居住建物等を取得した場合の評価方法は法令に規定されていないため、どのように評価すべきか疑義があったことから、配偶者居住権の目的になっている建物やその敷地を相続等により取得した時に、配偶者居住権の設定があったものとして計算することを明らかにしています。
配偶者居住権は、令和2年4月から施行されます。勿論実務でまだ拝見したことはありませんが、一般的なものとなるか、否か 様子を見ております。
いずれにしても、我々実務家にとって注意事項です。