2018/02/23 18:22:43
過大通勤費 タクシー
通常必要と認められる通勤費の範囲を超える高額な出勤手当は、給与所得に該当するか否かをめぐる争いで、高松高裁は、納税者の請求を棄却した原審・高松地裁平成28年11月9日判決を支持、国側の処分を適法と認めました(平成29年6月27日判決)。
同判決によると、病院を経営する医療法人Xは、同病院に勤務する非常勤医師や医療従事者に対して支払った往復交通費及び出勤手当について、税務当局から「出勤のために直接必要と認められる費用の範囲の金額を超えている」との指摘を受けました。その上で、当局は、直接必要な費用の範囲を超える部分は給与所得に該当し、源泉徴収の対象になるとして、Xに対して源泉所得税の納税告知処分等を行いました。
Xは、非常勤医師に対してタクシーでの出勤を前提として出勤手当を支給したと主張しましたが、高松高裁は「実際には、多くの非常勤医師等は自家用車や電車を利用してXに通勤していたことや、Xが非常勤医師に対して勤務地に設置されている駐車場の無料券を交付しており、大学病院から出勤する非常勤医師に対しては、そもそもタクシーの利用に関する説明をしていなかった」と認定しました。税務当局が本件出勤手当に係る非課税対象額の認定に当たって、公共交通機関又は自家用車を利用した場合に支給される金額を基礎として算定したことは不合理とはいえないとして、一審高松地裁に引き続き、Xの請求を棄却しました。
人手が足りず、お願いして来ていただく場合などでも、その方だけを優遇するわけにはいかないということです。広く皆に説明し、その上でリスクを覚悟して支給すべきですね。