過大な専従者給与
診療所を営む医師が、看護師及び事務長として診療所の業務に従事する配偶者に対し、年額1,800万円の青色専従者給与を支払っていたところ、適正額ではないとして否認された事案の控訴審の東京高裁は、配偶者に対する給与が労務の対価として適正額を超えると判断した一審・長野地裁の判決を支持、課税処分を適法と認めていたことが分かりました(令和5年8月3日判決)。
同判決によると、内科等の診療所を営む医師のXは、平成28年から平成30年の3年間において、看護師等として診療所の業務に従事する配偶者への青色事業専従者給与を年額1,800万円として所得税等の確定申告を行いました。課税庁はこの金額を一部否認、増額更正処分等を行ったところ、Xは処分を不服として提訴しました。一審・長野地裁令和4年12月9日判決は、労務の対価として相当とは認められないとして、年間約790万円から820万円を超える額は必要経費には算入できないとして、Xの請求を棄却しました。
Xはこの判決をなお不服として控訴しました。控訴審の東京高裁は、配偶者が看護師兼事務長として責任のある業務を担当し、労務に従事した時間もある程度長時間に及んでいたことはうかがえるものの、このことを客観的に裏付ける証拠がなく、専従者給与の額と労務との対価関係が明確であるとはいえないなどと判示し、課税処分を取り消すべき違法は認められないと判断しました。Xの控訴を棄却しました。
よくある話です。配偶者の給与を大きくして節税を図っていると思われます。しかし、配偶者が充分に働いているのなら、労働を客観的に裏付ける証拠をしっかり残せばよいということになります。タイムカード、看護師としての役割の足跡、事務の仕事の足跡などしっかり管理しておきましょう。
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