定額減税 Q&A
国税庁はこのほど、制度の詳細をできる限り早急に公表することとした昨年末の閣議決定を踏まえて、「令和6年分所得税の定額減税Q&A」を取りまとめて公表しました。
Q&Aは全59問。「定額減税の概要」「適用対象者」から始まり、本年6月の給与所得者の対象となる「基準日在職者」「月次減税額」、年末調整で精算する際の「年調減税額」に加え、源泉徴収義務者の便宜を図るため、法定化される書類ではないが、給与所得者の「各人別控除事績簿」を今回、新たに作成したことも明らかにしています。
所得税の定額減税は、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下の人を対象に、納税者本人は3万円、同一生計配偶者又は扶養親族も1人につき3万円を合わせて、主たる給与の所得税額から控除する制度です。いずれも居住者に限られます。給与所得者に対しては、令和6年6月1日以後最初に支払を受ける給与等に係る源泉徴収税額から控除し、控除しきれない場合は翌月以降の給与等から控除しますが、「Q&A」ではこれらを「月次減税額」と定義しています。その後の配偶者や扶養親族等の人数変更による精算は月次減税額では行わず、年末調整で行うことから「年調減税額」の算定についても解説しています。
また、令和6年分の合計所得金額で判定するため、年収2,000万円超の所得制限が見込まれるケースでも、月次減税の対象とする点には注意したいところです。
従業員の同一生計配偶者や扶養親族について源泉徴収義務者は、年始等に提出された扶養控除等申告書に基づき把握すればよいので、改めて提出を求める必要はありません。6月に月次減税を実施した後の扶養親族の人数の変更は、月次減税額の増減ではなく、年末調整や確定申告で調整することになることも明記されました。
個人事業や中小零細企業は、大変な事務負担を課されることになりそうです。
税務署による事前説明会の日程は、HPで公表されていますが、周知に至っていないと思います。所得税の確定申告の期限終了後、税務署や地方自治体では、事後の事務処理に追われています。我国では多数を占める3月決算法人は、5月末まで申告処理で大忙しです。源泉所得税などの国民に身近な税務手続きは、国民の充分な理解を得る時間をもって行う必要があると思います。このような複雑な手続きを短期間で零細事業担当者(高齢者多数)に理解せよというのでしょうか?
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