販売用マンションの購入について消費税の処理
販売用マンションの購入時にかかった消費税額が、個別対応方式による控除税額の計算上、「課税売上げのみに要する仕入れ」か「共通対応課税仕入れ」かをめぐり争われた裁判で、最高裁は「共通対応に該当する」として国側の主張を認めました(令和5年3月6日判決)。
中古マンションを仕入れ、リフォーム等を施して転売する事業を営んでいるX社は、マンションの仕入れに係る消費税額を「課税売上げのみに要する仕入」として仕入税額控除の計算を行っていたところ、所轄税務署長より「マンションの貸付けによる賃料収入も含まれるため、共通対応課税仕入に該当する」として否認を受けたため、訴訟を提起しました。一審・東京地裁は「賃料収入はマンションを転売するための副産物」として、仕入自体は「課税売上げのみに要する仕入」としてX社の主張を認容。控訴審・東京高裁は、非課税売上を生ずる取引が客観的に見込まれる場合は共通対応に該当するとして、一転X社敗訴となりました。
最高裁では、課税売上と非課税売上の双方に対応する課税仕入は、当該事業に関する事情等を問うことなく、共通対応課税仕入に該当すると解するのが消費税法の趣旨に沿うものというべきとし、X社の上告を棄却する判断を下しました。また、過少申告加算税を課さない「正当な理由」があるか否かについても、事業者としては共通対応とする取扱いが行われることを予測できたため、「正当な理由」はないとしてX社の主張を斥けました。
現在、令和2年4月の税制改正により居住用賃貸建物の取得等に係る仕入税額控除の制限があり、消費税の処理についてより慎重な判断が求められています
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