合資会社の社員が死亡した場合の持分払戻請求権
合資会社の社員が死亡した際の持分払戻請求権について、出資金額を超える部分がみなし配当として課税されました。審判所は、本件合資会社の定款に持分の承継に関する定めがなく、相続により時価相当額の経済的価値がもたらされたため、出資額を超える金額はみなし配当と認められると判断し、原処分を適法としました(令和4年6月2日裁決)。
合資会社の無限責任社員であったAが死亡。相続人XはAの死亡退社に伴う持分払戻請求権を零円とする同意書を作成した上、共同相続人が各5分の1ずつの払戻請求権を取得する旨の遺産分割協議を成立させました。原処分庁は、払戻請求権のうちAの出資金額(元本)を超える部分がみなし配当に該当するとして更正処分等を行いました。Xはこの処分を不服として審査請求しました。
審判所は、本件合資会社の定款には持分の承継に関する定めがないことからすれば、Aは死亡退社により本件払戻請求権を取得したものと認められ、Aが有していた社員権が払戻請求権に転換した時点、すなわち、相続開始日において払戻請求権の価額相当額の経済的価値がAにもたらされたといえると指摘しました。
よって、当該価額相当額のうち、出資に対応する部分の金額を超える金額は、Aのみなし配当と認められると判断しました。課税処分は適法であったとして、Xの請求を棄却しました。
持分会社の払戻請求権については、慎重に検討する必要があります。注意しましょう。
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