生命保険の一時金申告で仮装隠蔽の課税処分の取消
生命保険金に基づく一時金等を所得に含めずに確定申告した行為は仮装隠ぺいに当たるかが争われた事案で、審判所は、当初から過少申告を意図し、外部からもうかがい得る特段の行動をしたとはいえないとして、課税処分を取り消しました(令和4年4月15日裁決)。
納税者Xは、生命保険契約に基づく一時金等を受領しました。生保会社からは一時所得等となる旨の通知や支払明細等を送付していましたが、Xはその通知等を廃棄し、所得税等の確定申告では一時金等を含めずに申告しました。税務調査でこのことが発覚し、原処分庁はXの行為を仮装隠ぺいとして重加算税の賦課決定処分を行いました。Xはこの処分を不服として審査請求に及んでいました。
原処分庁は、Xが一時金等の課税に係る通知や支払明細等を破棄したことは、当初から所得を過少申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと主張しました。これについて審判所は、Xは過去5年中1度しか確定申告を行っておらず、当該年分についても、たまたま金地金の売却に係る譲渡所得があったために申告を行ったのであり、税務の知識があったとはいえないこと、確定申告の時点で本件一時金等の存在や申告の必要性を認識していたとはいえず、支払明細等も意図的に破棄したとは認められないことから、過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないと判断しました。重加算税の賦課決定処分を取り消しました。
重加算税の課税の要件として、仮装隠蔽があります。納税者の内心を客観的に判断することになる場合もあると思います。充分に慎重に手続きを進めていただきたいです。
コメント
コメントはありません