相続税の生前贈与加算の期間延長について改正か?
相続税・贈与税のあり方を見直すため、政府税調が設置した専門家会議(座長は増井良啓 東京大学大学院教授)での議論が始まっています。第2回会合では、選択制となっている贈与税の課税方式や、資産移転の時期の中立性などの観点から意見交換が行われました。
贈与税の課税方式については、暦年課税を選択した場合には死亡前3年以内の贈与のみ相続税として加算され、それ以前の贈与には相続税よりも税率の高い贈与税の税率が課されるために税負担が大きく異なり、資産移転の時期に中立的でないといった指摘がされているところです。
こうした問題提起を受け、第2回会合では、暦年課税において相続時に加算される死亡前3年の期間を延ばすべきといった意見が多く出ました。延長期間については、学者側から「10年ほど」と具体的な数字も出されましたが、会合メンバーの税理士会側からは「5年ぐらい」が妥当との声とに分かれました。また、「期間を延ばす場合には移行期間を設けるべき」との指摘もありました。さらに、2,500万円の控除額を超える贈与に対して一律20%の低税率でありながら、贈与した財産はその時の時価で相続財産に持ち戻される相続時精算課税制度について、使い勝手の向上を求める声が相次ぎました。
与党の税制調査会では5年度の税制改正大綱取りまとめに向けた作業が始まっており、政府税調は贈与税の見直しについても大綱への反映を目指しています。
この議論は、よく耳にします。しかし、実務上は、生前贈与加算の期間が長くなると確認の作業が大変です。中には、不可能なケースもあるでしょう。被相続人はお亡くなりになっておられますし、相続人等の皆さんの中には高齢の方もおられ、覚えているか定かでない場合、どうすればよいのかわかりません。制度設計において、うまい落としどころが必要だと思います。
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