生命保険協会が生命保険金の非課税枠の拡大要望
節税の観点から頭をひねってアイデアを出してきた生命保険業界ですが、令和5年度税制改正要望で生命保険協会は、遺族の生活資金確保のため相互扶助の原理に基づいて、死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げを要望しています。
死亡保険金は、保険金受取人が保険金請求権を固有の権利として原始的に取得し、保険会社から直接受け取るものであり、相続税創設当初においては非課税として取り扱われていました。その後、死亡保険金を相続財産と「みなす」ことにより「みなし相続財産」として課税対象に取り込むこととされた結果、現在では、すべての法定相続人につき1人当たり500万円を非課税とすることとされています。
相続財産の約4割は土地・家屋など換金性の低い資産で占められていますが、これらは残された家族が居住の用に供するためのものであって、生活資金の柱となるのは、「遺族年金」や「現預金」、「死亡保険金」などとなっているのが実情です。しかし、未成年の子がいる母子遺族世帯の場合、これだけでは生活費を賄うことができず、土地・家屋など相続財産を切り崩して生活資金を確保している事例も散見されます。
そこで、生命保険協会は、「法定相続人数×500万円」という現行の限度額に「配偶者分500万円」と「未成年の被扶養法定相続人数×500万円」を加算することを税制改正要望として打ち出しています。
相続税の生命保険金の非課税が拡大されると、確かに母子遺族世帯などは助かります。生命保険料を所得控除しない代わりに、保険金を非課税にすることも検討に値すると思います。
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