相続税調査等の状況
国税庁が公表した令和2事務年度相続税調査等の状況によると、実地調査における1件あたりの追徴税額が過去10年間で最も多かったことが分かりました。
同事務年度の実地調査は法人税や所得税と同様にコロナ感染症の蔓延に伴う調査制限により、昨年の48%にあたる5,106件まで低下しています。その結果、4,475件から1,785億円の申告漏れ課税価格を把握し、482億円を追徴しています。調査件数が減少する中、非違割合は2.3ポイント上昇するとともに、調査1件当たりの申告漏れ課税価格は3,496万円と22%増加し、その追徴税額も943万円と47.3%も増えていることを考えると、国税当局が少ない実地調査機会でも部内資料等からピンポイントで悪質・高額な事案に的を絞った効率的な調査を行っていることが伺えます。
一方、相続税の無申告が想定される納税者へ書面照会を行って期限後申告書の提出を促すほか、調査すべき問題点が限られる事案には電話や税務署への来署依頼などをする「簡易な接触」は1万3,634件実施しています。こちらは57.9%の増加。無申告事案については、462件に実地調査を実施して409件から455億円の申告漏れ課税価格を把握し、追徴税額は61億円となりました。1件当たりでは申告漏れ課税価格が9,848万円、追徴税額は1,328万円となり、集計開始の平成21事務年度以降最高でした。
相続税の追徴税額が過去最高となるということは、狙いをさだめた税務調査を行っているということでしょう。コロナ禍で調査件数が減少するなか、空振りのない高額事案に絞っているのでしょうか。
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