経営者の個人的な飲食代金を交際費
経営者の個人的な飲食代金を交際費に計上した行為は重加算税の対象となる仮装・隠ぺいに該当するか否かをめぐる争いで、東京地裁は、納税者の説明からは接待交際の事実が認められないとして、課税処分は適法と判断しました(令和2年3月26日判決)。
X社など3社の経営者であるAは、平成22年から27年の間に4店舗のクラブを計372回利用し、7,000万円近くの費用を支出しました。3社は法人税の申告においてこれらの金額を交際費として損金の額に算入するとともに、消費税の申告において課税仕入れに係る支払対価の額に算入しました。課税庁はこれらの金額をAの個人的な飲食代金と認定し、修正申告を勧奨しました。3社はこれに応じ、本件費用をAに対する貸付金として処理した上で修正申告をしたものの、その後仮装・隠ぺいを認定され、重加算税の賦課決定処分を受けたことから、「修正申告は税理士が勝手に行ったもの」として提訴しました。
裁判で原告は、Aが支出した費用は原告の接待等に要した交際費であると主張しました。これに対し東京地裁はまず、本件修正申告はA及び原告3社の了承の下に行われた有効なものであると指摘しました。その上で、総額約7,000万円、1回当たり約20万円という高額かつ高い頻度の接待を行うことが原告の業務と関係があったとする合理的な説明はないとして、Aの個人的な飲食代金であったと認定しました。よって仮装・隠ぺいに該当するとして原告の請求を棄却しました。
経営者の個人的な飲み代など事業に関連しないものについては、気をつけましょう。なかなか線引きがむつかしいものもあります。なるべくメモなどでも残し、足跡をのこしましょう。
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