個人住民税の過納金は他の滞納分に充当すべきと判断 (最高裁)
滞納となっていた複数年分にわたる個人住民税とその延滞金等について、いったんは納付され、その後、ある年分の住民税について減額の賦課決定によって過納金が生じた場合の還付金等に関して争われた事件で、最高裁はこのほど、控訴審の判断には明らかな法令違反があるとしてこれを破棄し、還付すべき過納金の額等について更に審理を尽くさせるため控訴審に差戻しを命じる判決を言い渡しました(最高裁令和3年6月22日第三小法廷判決)。
この事件において、控訴審では、減額賦課決定に係る税額を超えて徴収された過納金については、徴収の時点から法律上の原因を欠いていたものであるから、そのまま過納金として還付されるべきであり、その徴収当時、他に滞納分が存在したときであっても、その他の滞納分に充当されたものとして延滞金等を計算する法的根拠は存在しないと判断していました。
これに対して最高裁は、本件のようにある年分の住民税に過納金が発生した場合に、他に滞納分があるときは、まず他の滞納分に過納金を充当すべきであると判断しました。なぜなら、他の滞納分に過納金を充当しなければその分に係る延滞金が余計に生ずることになり、還付金の総額に影響することになるためです。この点で、過納金を他の滞納分に充当することをせずに、そのまま還付することとした計算には誤りがあるとして、納税者側に軍配を上げました。
その結果、控訴審の判断には明らかな法令違反があることから破棄は免れないと判示し、還付すべき過納金の額等について更に審理を尽くさせるため、控訴審に差し戻しました。
よく起こりそうなことです。この判決で、行政の対応が変わるものと思われます。
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