押印廃止における相続税申告の留意点
令和3年度税制改正において、税務関係提出書類の押印義務が原則廃止されることに伴い、国税庁は、その施行日である令和3年4月1日を待たずに、運用上、押印がなくとも改めて求めない方針を示しています。令和2年分の所得税をはじめ、各税の申告書にはハンコ欄があっても、押印する必要がなくなったわけですが、相続税の申告について、2人以上の相続人等が共同して提出したものであることを認める方法を別途明らかにしています。注意したいところです。
法令上、相続税の申告書について、2人以上の相続人等が共同して提出する場合には一の申告書に連署して提出することとされています。国税庁のパンフレットによれば、今後、2人以上の相続人等が相続税の申告書に押印をしないときは、申告書第1表及び第1表(続)には共同して提出する相続人のみの名前を記載して提出することとしています。これは、申告書の提出意思の有無を明らかにするためです。なお、共同して申告書を提出しない相続人等の方は、別途申告書を作成し提出する必要があることも記載しています。
申告書第1表等についてすべての相続人等の氏名や金額を記載する場合には、第1表等のうち共同して申告書を提出しない方の氏名や金額欄を斜線で抹消するなどして、その者が共同申告しない相続人等であることを明示するように求めています。
相続税の申告書は、従前押印がない相続人は無申告とされ、加算税が課されるなどの事態が起こっておりました。遺産分割などで話がまとまらない場合などに、起きることもあります。申告書の提出の意思表示は、大切な留意点です。
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