過度な節税目的の生命保険
過度な節税に利用されているとして、金融庁が一定のタイプの生保商品を問題視したのに端を発し、国税庁が今年に入ってから通達改正に向けて本腰を上げ始めたことから、2月半ばには同タイプの商品の販売を自粛する生保会社が相次ぐ展開となりました。さらに3月4日を期限に国税庁は生保会社にアンケートを行ったとの情報もあり、関係者の関心は通達改正案がいつ公表されるのか、その適用が遡及されるのかに移りつつあります。3月決算を前に駆込みで同タイプの商品を購入して、利益を圧縮する行動は控えたほうがよさそうです。
問題の節税保険は、会社が契約者となり、役員等を被保険者として加入する災害保障重視型の定期保険です。保険期間の前半は保障の範囲を絞り込む代わりに一定期間の解約返戻金は高く設定するものです。支払保険料の全額を損金算入(法人税基本通達9−3−5)できるとともに中途解約すれば保険料の大部分が戻ってきます。特に国内最大手の保険会社が取り扱う商品がヒット商品となり、多くの中小企業や医療法人が利用しています。 規制の動きとして、まずは金融庁が問題視しました。通達改正にまで及ぶか、国税庁の動きに注目が集まっていましたが、同庁は2月半ば、生保各社に対し同タイプの保険に対する課税方法を定めた上記通達を見直す考えを伝えたことから、生保各社は一斉に販売自粛する動きを見せています。さらに同庁は、通達改正に当たって3月4日を期限に生保各社にアンケートを実施したとの情報もあり、早ければ3月末、遅くとも国税庁の異動時期である6月までにパブリックコメントで改正案を公表し、確定する構えです。
現場からすれば、お客様にお勧めする節税手段がまた一つ消えたという感覚です。昔から繰り返えされてきたやり取りに、金融庁が入場してきた感があります。過去の契約まで遡求すれば、大変なことになります。
賢明なる財務省の皆様、そこら辺のバランスはよろしくお願いいたします。
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