相続分野の民法改正
度重なる民法改正の中でも、今年の7月に成立・公布された相続分野の改正は、相続税業務はもちろん、税理士がサポートする相続手続、さらには生前贈与や事業承継対策の提案に影響を与えることから、いつ施行されるのか注目されていましたが、遺産分割や遺留分など多くの改正項目は来年7月1日に施行されることが判明しました。
法案成立時の改正法附則に規定されていた「自筆証書遺言の方式緩和」は、最も早い来年1月13日に施行されることが既に明らかになっています。遺言書に添付する財産目録はパソコンで作成してもOKとする改正で、同日以降に作成した遺言書から適用されます。今回、施行期日を定める政令で判明したのは、(1)婚姻20年以上の夫婦間の居住用財産の贈与を(相続財産に)持戻し免除とする規定や、預貯金仮払い制度、特別寄与料など新設される規定が来年7月1日に施行、(2)配偶者居住権の創設が改正債権法と合わせて再来年4月1日に施行、(3)自筆証書遺言書の法務局保管制度は再来年7月10日に施行される――というものです。自筆証書遺言の方式緩和を含めると4段階で施行されることになります。
また、預貯金仮払い制度のうち家庭裁判所を経ない方法によって、相続人が単独で払戻しできる額は、相続開始時の預貯金債権の額の3分の1に当該払戻しを求める共同相続人の法定相続分を掛けた額となりますが、法務省令により、金融機関ごとの上限額が150万円に設定されることもパブコメで明らかになっています。
これらの民法改正により、相続税や相続関係実務の段取りは、大きく変わっていきます。注意深く理解していきましょう。
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