法人が契約していた定期保険を個人が承継した後の解約
法人が契約していた定期保険を個人が承継した後に解約し、解約払戻金を受領した場合、払戻金は一時所得に当たるが、法人が支払済みの保険料は必要経費となるか否かが争われた事案で、東京高裁は、納税者の主張を斥けた一審(静岡地裁平成29年3月9日判決)の判断を支持しました(平成29年7月20日判決)。
A社の代表取締役Xは、A社が契約していた新逓増定期保険の契約者の地位を承継し、その後解約をして解約払戻金を受領しました。しかしXは払戻金について確定申告をしなかったため、所轄税務署長から「一時所得に該当する」として決定処分を受けました。
Xは、A社が支払済みの保険料は所得税法34条2項の「その収入を得るために支出した金額」に該当するため、必要経費として控除できるはずだとして提訴しました。同項には「その収入を得るために支出した金額」について収入を得た個人が負担した金額に限るというような限定は一切付されていないと主張しました。
東京高裁は、同項の文言について「支出された」となっておらず、「支出した」となっているのは、収入を得る主体が支出した金額のみ控除の対象とすることを表現しているとした上で、「その収入を得るために支出した金額」が収入を得た個人が負担した金額に限らないとはいえないと指摘しました。一審と同様、Xの主張は採用できないと判示しました。
以前は、この手法が節税策として紹介されていましたが、現在は、通用しません。今や常識ですが、再確認です。
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