次世代経営者への引継ぎを支援する事業承継税制(改正)
平成30年度税制改正法案の成立により、平成30年1月から10年間、全株式を対象に3人の後継者まで贈与税及び相続税の納税を100%猶予し、5年間平均8割の雇用維持要件を撤廃する「事業承継税制の特例」が創設されました。
同特例の適用を受けるには、平成30年4月から5年間のうちに後継者の名前や株式贈与のスケジュール等を記載した特例承継計画を都道府県に提出する必要がありますが、これらの手続を規定する「経営承継円滑化法12条1項」の認定に関する省令も3月31日、新旧対照表が官報に掲載され、特例承継計画の提出が4月1日からスタートしています。併せて、省令改正案のパブコメ意見に対する中小企業庁の見解も示されているので、確認したいところです。
特例承継計画について中小企業庁は、後継者とは新たな代表者の候補者で、代表者から相続等により株式等を取得することが見込まれるもの、あるいは代表者であって、他の代表者から相続等により株式等を取得することが見込まれるものを記載することとしています。株式等を特例後継者が取得するまでの期間の経営に関する具体的な計画や、特例後継者が特例代表者から株式を承継した後5年間の経営に関する具体的な計画も記載する必要があるようです。中小企業庁は、制度の周知やQ&Aの充実などにより、円滑な制度運用の方策を図る方針です。
適用関係でも注目したい見解があります。贈与税の猶予から相続税の猶予について、「10年間の特例期間経過後に相続が発生した場合に切替確認を行う際も、特例認定の対象」になると回答しました。つまり、贈与税で今回の特例を受ければ、相続の発生が特例期間を過ぎていても相続税の特例を適用できるようです。
この特例は、優良会社の自社株の評価が多額となった場合、新しい後継経営者に持ち株を引き渡す際の贈与税や相続税対策として、切り札となる税制です。ぜひご検討ください。
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