金融機関等でのマイナンバ−の利用
今年5月の日本年金機構における個人情報流失問題で、成立が危ぶまれていた改正マイナンバー・個人情報保護法とその整備法が、参議院での修正を経て、9月3日に衆議院で成立しました。整備法の中に盛り込まれ、金融機関等に対して個人番号・法人番号で預貯金情報を検索できるように管理することを義務付ける改正国税通則法は、平成30年1月から実施される見込みです。
改正法は、平成28年1月から番号利用が始まるマイナンバー制度の利用範囲を広げるものです。例えば(1)社会保障制度における資力調査や国税・地方税の税務調査において金融機関の持つ預貯金情報を利用できるほか、(2)医療分野では、特定健康診査情報の管理や予防接種履歴の地方公共団体間の情報交換――などに番号を利用できます。(1)の預貯金情報とは、預貯金者の氏名や名称、住所又は居所その他預貯金等のことであり、個人番号や法人番号を使って、複数の金融機関等の口座残高を集計したり、預貯金の出入り等を把握することができるようになります。
とはいえ、改正法は預貯金者に対してマイナンバーを金融機関に告知することを義務化していないので、多くの預貯金情報に番号が紐づけられなければ、税務調査での利用は限定的なものとなります。このため、改正法は、施行から3年を目途に必要な措置を講じるとの見直し規定もあります。
施行から3年を目途に金融機関でマイナンバ−を告知することが義務化されたら、税務調査などで利用されることになります。この件の行方を注視していく必要があります。
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