遺言控除を検討
自由民主党の政務調査会「家族の絆を守る特命委員会」で、「遺言控除」の導入が検討されました。
提言されている「遺言控除」は、亡くなられた被相続人の遺言に基づいて相続がされた場合に、相続税の基礎控除に上乗せして一定額を控除する制度です。 「遺言控除」導入の目的は、遺言に基づく遺産分割を促進し遺産分割をめぐる紛争を抑止すること、また、介護による貢献に見合った遺産相続を促進することとされます。
委員会で示された資料によると、平成26年の遺言公正証書の作成件数は104,490件であり、前年の平成25年の96,020件より、8千件以上増加しています。
相続税制は、平成25年度の税制改正により、平成27年1月以降に発生した相続・遺贈から基礎控除が3,000万円+600万円×法定相続人数となり、改正前の6割に縮減されたことから、今後、相続税の申告は増加するとみられ、以前よりも相続にかかる関心は高まっています。
また、最高裁判所の司法統計年報によると、5,000万円以下の相続財産での争いが、相続財産をめぐる争いのおよそ75%を占めており、「遺言控除」が検討される背景には、相続財産をめぐる争いを防ぐ手立てとして、これまで以上に遺言の活用が期待されていることがあります。
委員会では、「遺言控除」のほか、現行の配偶者控除および配偶者特別控除に代えて、夫婦の世帯に対し、配偶者の収入にかかわらず適用される新たな控除である「夫婦控除」の創設も議論されており、「遺言控除」と同様、今後の税制改正での議論の行方が注目されます。
政策的に税制を作ることによって、相続争いはおさまるでしょうか? 税制って、コワイですね。
この記事にコメントする